インビザラインでマウスピースが歯から浮く。その原因と対処法
インビザライン矯正でマウスピースが歯から浮いてしまうと、歯を動かすことができずに計画が大幅に遅れてしまう可能性があります。インビザライン矯正では、マウスピースと歯を密着させることが重要です。
そもそも、インビザラインでマウスピースが歯から浮くというのはどのような状態なのでしょうか?
マウスピースが歯から浮いてしまう原因やその対処法を解説します。
インビザラインでマウスピースが浮くとはどんな状態?
インビザラインは、段階的にマウスピースの形を変えて少しずつ歯を動かしていく矯正方法です。
矯正を始めたばかりのときや、新しくマウスピースに交換したときは、まだ歯とマウスピースがうまく噛み合わずにごく僅かに浮いてしまうことがあります。
始めの頃であれば、1~2mm程度なら浮いていても問題ありません。ただし、1週間以上経過しても浮いている場合は何かしらの問題があるので、歯科医へ相談した方がよいでしょう。
どんな状態のときにマウスピースが浮いてしまうのか解説します。
前歯の部分が浮く状態
前歯はマウスピースが浮きやすい部分です。浮いているときは、マウスピースをフィットさせる力が弱くなっている可能性があります。
マウスピースの縁が浮く状態
マウスピースの縁が浮くと、頬に当たって痛みが出ることがあります。
この状態の場合は、浮いている部分を少しだけ歯茎側に押し込むと、密着しやすくなり改善される可能性が高いです。
ただし、強く押し込むと変形・破損の原因になるため注意しましょう。
奥歯が浮く状態
奥歯だけが浮いている場合は、引っ掛かりが少なくパカパカしている状態です。
インビザラインを装着して、奥歯だけがパカパカと歯が合わずに引っ掛かる感じがある場合、それはインビザラインのマウスピースが適切に装着されていないことが原因の可能性があります。
インビザラインは、個々の患者に合わせて作られるため、マウスピースが完全に合わない場合、歯に十分な力が加わらず、矯正効果が得られないことがあります。
また、外したときに噛み合わない場合は、奥歯自体が歯茎に沈み込んでいる可能性があります。
インビザラインを使用する場合、マウスピースが適切に装着されている場合でも、奥歯の矯正は時間がかかることがあります。
奥歯は、他の歯に比べて大きく、強い力がかかるため、矯正に時間がかかることがあります。
奥歯が噛み合わない状態になる場合は、奥歯自体が歯茎に沈み込んでいる可能性があります。
インビザラインでマウスピースが浮く原因を解説
インビザラインでは理想的な適合状態であっても、マウスピースが浮く場合があります。
浮いてしまう原因について解説します。
装着している時間が短い
マウスピースは1日20~22時間以上の装着が理想とされています。
装着時間の短い日が続くと計画通りに歯が動かず、新しいマウスピースを装着したときに浮いてしまうことが多いです。
治療計画がずれている
歯の移動が計画的に進んでいない場合、治療計画がずれて、新しいマウスピースがなかなか適合しない状態になります。
マウスピース1枚で0.2~0.25mmほど移動しますが、歯の移動量が多いと交換が進むごとにずれてしまう可能性が高いです。
何度も取り外している
マウスピースは柔らかい素材でできているため、取り外す度に少しずつ変形します。とくに縁の部分は広がりやすいです。
取り外す回数が多いと形が戻りにくくなってしまい、歯にかかる力が弱まります。その結果、アンフィットを起こして浮いてしまいます。
マウスピースが変形している
取り外しや洗浄時の力加減、熱、管理不足など、さまざまな要因によってマウスピースが変形してしまう場合があります。
マウスピースは緊密に適合するように作られているため、少し変形するだけでも歯列に適合せず浮いてしまいます。
順番を間違えている
マウスピースは将来の交換用も一緒に渡されます。間違えてしまわないように、袋やマウスピース本体にナンバーが記載されていますが、不注意で順番を間違えてしまうこともあるでしょう。
順番を間違えるとその時の歯列に適合しないため浮いてしまいます。
アライナーチューイーを使っていない
アライナーチューイーとは弾力のあるチューブのことで、マウスピースを歯に密着させるためのアイテムです。
インビザラインではアライナーチューイーを使って、マウスピースをしっかりフィットさせて歯に力が加わるようにしなければいけません。
アライナーチューイーの使用を怠ると、正しく力が加わらずアンフィットを起こし、浮いてしまうようになります。
アタッチメントが脱落している
マウスピースが浮きやすい歯の形をしている場合は、アタッチメントを装着して浮きにくくします。
アタッチメントが脱落すると、保持力が低下してマウスピースが歯から浮きやすくなります。
ブラッシング不足
マウスピースはタイトに適合するように作られているため、少しでも食べかすなどが残っているときちんと入らなくなります。
歯磨きをしっかりすることも、インビザライン矯正では重要なポイントです。
インビザラインでマウスピースが浮いたときの対処法
マウスピースが浮いたときは、以下の対処法を試してみましょう。
アライナーチューイーを使って防止する
マウスピースが浮いたときは、アライナーチューイーを1日20~30分以上噛みましょう。
歯列が適合してフィットするようになったら数分間の使用で問題ありません。
以前のマウスピースを使用する
新しいマウスピースに交換した際に、2mm以上の隙間がある場合は、移動が不十分な可能性が考えられます。数日間ほど、1段階前のマウスピースに戻して使用してみましょう。
なお、1段階前のマウスピースに戻す場合は、必ず主治医に相談してください。
歯科医師に相談する
自分で対処しても改善されない場合は、マウスピースそのものに問題がある可能性も考えられます。
マウスピースに問題がある場合は、自分で対処できないため、歯科医院で再度主治医に相談しましょう。
まとめ
インビザラインで使用するマウスピースは、もともと完全に歯列に適合するものではありません。徐々に歯を動かしていくので、矯正を始めたばかりや新しく交換した当初は少し浮いているものです。
しかし、隙間が大きい場合や1週間以上浮いている場合は、何らかの原因で不具合が起きている可能性があります。
まずは自分でできるところから対処し、それでも改善しない場合は歯科医院の主治医へ相談してみましょう。