悪い歯並びの種類とその影響

2023.02.17

私たちが一人一人顔や性格が違うように歯並びも一人一人それぞれ違います。

歯並びがいい人もいれば歯並びが悪い人も。

歯並びが悪いことを「不正咬合」と言います。

「不正咬合」は、見た目はもちろんそのほかにも影響があります。

今回は「不正咬合」の種類とその影響をご説明します。

「不正咬合」の種類は数多い！

一概に「不正咬合」と言ってもその種類は様々あります。

ここでは様々な「不正咬合」をご紹介します。

上顎前突（じょうがくぜんとつ/出っ歯）

上顎前突はいわゆる出っ歯と呼ばれる上の歯が下の歯よりも著しく前に出ている状態の不正咬合を指します。

上顎前突は日本人に多い不正咬合で、上の歯が前に大きく傾いて生えているタイプや上顎の骨が前に突出しているタイプなどがあります。

上顎前突の原因には、先天的に上顎の骨が下顎に比べて大きかったり上顎の骨が前に突出していたりする要因と、後天的な指しゃぶりの期間が長い場合や舌で歯の裏側を押すなど日常的な癖によって起きるものがあります。

下顎前突（かがくぜんとつ/受け口）

上顎前突とは反対に、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている不正咬合を「下顎前突」といいます。

一般的に受け口やしゃくれと呼ばれている不正咬合となります。

下顎前突の場合、滑舌が悪くなり発音がしづらくなります。

特に「さしすせそ」のサ行の発音が難しい・苦手な人が多いのが特徴です。

下顎前突の原因は、下顎が大きい、または上顎が小さいなど骨格の問題が大きいと考えられます。

空隙歯列（くうげきしれつ/すきっ歯）

空隙歯列とは簡単に言うとすきっ歯の状態の不正咬合です。

顎が大きい、または顎のサイズに比べて歯のサイズが小さい場合、歯の生えるスペースが余ってしまうため歯と歯の間に隙間ができてしまうことが主な要因です。

歯の隙間が大きいことで歯と歯の間ががスカスカな状態に見えるのも空隙歯列の特徴です。

また、空隙歯列に似た症状の「正中離開」がありますが、こちらは前歯の2つの間に隙間ができる状態のことで空隙歯列とは違います。

空隙歯列は、全体的に歯と歯の間に隙間が生じている状態を指します。

空隙歯列は歯と歯の間から空気が漏れるため、発音に大きく支障がでます。また、歯と歯の隙間が大きく上下の歯がしっかりと噛み合わないため、上手く租借できなかったり食事に影響を及ぼすことも考えられます。

過蓋咬合（かがいこうごう）

過蓋咬合とは上の歯が下の歯に大きくかぶさっている状態の不正咬合をいいます。

下の前歯が上の前歯の裏に擦れて歯が擦り減ってしまったり、重なりがさらに深い場合には下の前歯が裏側の歯茎に当たり歯茎を傷つけてしまったりする可能性があります。

また、過蓋咬合は上の歯が大きく重なることで下顎が奥に押し込まれて顎関節に負担がかかり顎関節症を誘発するきっかけになってしまう可能性もあります。

交叉咬合（こうさこうごう）

交叉咬合とは上下の歯が部分的に互い違いになっている不正咬合のことです。

前歯は上の歯がちゃんと前に出ているのに反対に奥歯は下の歯が前に出ているなどのようないくつかの歯が交叉している状態の不正咬合を指し、「クロスバイト」や「すれ違い咬合」などとも呼ばれています。。

歯並びの片側だけが交叉していたり、左右均等でない場合には、噛む力が均等にかからないため顎の関節に負担がかかります。

叢生（そうせい）・乱杭歯

叢生は乱杭歯とも呼ばれ、隣り合う歯が重なり合い、デコボコに乱れた不正咬合のことです。

日本人の不正咬合の症状のなかでは最も多い症状とも言われており、顎が小さく歯の生えるスペースが十分にないところに歯が無理やり生えてきているため、ガチャガチャ、デコボコと重なり合って歯が生えてしまいます。

「八重歯」も実はこの叢生・乱ぐい歯の一種に当たります。

歯と歯が複雑に入り組んでいる叢生は、日頃の歯磨きやフロスなどのケアがしづらく歯の奥に食べカスや汚れが残りやすいので、虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。

開咬（かいこう）

開咬はオープンバイトとも呼ばれ、歯を噛み合わせても前歯が閉じない状態の不正咬合のことです。

開咬は、先天的な要因のほかにも、指しゃぶりや下で歯を押すなど日常生活で無意識に行なっている後天的なクセなども原因の一つと考えられます。

前歯が噛み合わないので食べ物を噛み切るのが難しいことや、空気が抜けて発音がしづらいなどの影響があります。

また、前歯が噛み合わさらないため奥歯に集中して力がかかることが多く、奥歯が欠けたり割れたりする恐れもあります。

上下顎前突（じょうかがくぜんとつ）

上下顎前突とは上下の前歯が前に突き出ている状態の不正咬合のことです。

上下顎前突の人は歯が前に出ているため唇が閉じにくく、口の中が乾燥しやすく、て虫歯や歯周病のリスクが高まります。

両前歯が前に出ているため噛み合わせには支障がないようにも見えますが、前歯に力が入りづらいため物を噛んだり噛みちぎったりという機能が弱い場合が多いです。

前歯が前に突出しているだけであれば歯を後ろに引っ込める治療が可能ですが、そもそも顎の骨が小さく前歯を引っ込めるスペースがない患者さんの場合には抜歯が必要になることもあります。

不正咬合が全身にもたらす悪影響

不正咬合は、見た目の問題だけでなく、日常生活や運動機能や食生活、健康にも影響をおよぼすこともあります。

ここではその影響の一部を紹介します。

虫歯・歯周病のリスク

歯並びが悪いと歯の隙間に食べカスや汚れが詰まりやすくなります。

歯と歯が重なり合った部分は日常の歯みがきやフロスが届きにくいため、たとえ頻繁に歯磨きを行っても十分に汚れを落とすことができず、虫歯や歯周病になりやすいといわれています。

また、唾液は虫歯や歯周病の原因となる菌を洗い流す役割もありますが、歯並びのせいで口が閉じにくいことで、口の中が乾燥しやすくなり、それによって唾液の働きが低下し虫歯や歯周病が進行しやすくなります。

口臭のリスク

歯と歯が複雑に入り組んでいる不正咬合は、隅々まで歯ブラシがやフロス届かず、十分に汚れを取り除くことができません。

食べ物のカスや汚れが付着したままになると雑菌が繁殖し、口臭の原因になってしまいます。

また、歯並びの悪く常に口が開いた状態も、口の中が乾いて雑菌が繁殖する原因に。虫歯や歯周病と同じように、不正咬合は口臭トラブルも引き起こしてしまう可能性もあるのです。

歯が欠けたり割れたり折れたりするリスク

歯並びや噛み合わせが悪いと、噛んだり力んだりした際に噛み合わさっている一部の歯に集中的に力が加わります。

その結果、強い力が加わり続けた歯は、割れたり欠けたり折れたりすることもあります。

それ以外にも歯同士が強く触れあったり擦れたりすることで、歯がすり減って削れたり歯茎が傷ついたりすることもあります。

顎関節症になるリスク

不正咬合によって歯並びや噛み合わせの悪いと顎関節に負荷をかけるため、顎関節症を引き起こす原因のひとつとなります。

特にストレスを抱えていたりストレスを感じたりしていると、そのリスクが高まるともいわれています。

胃腸に負担がかかる

歯と歯が正しく噛み合わさっていないと、食べ物を噛み切ったり噛み砕いたりすることが難しくなるため、食べ物が大きなまま消化器官である胃腸に届くことにより負担がかかってしまいます。

また、私たちの体は噛むことで唾液を分泌し唾液が食べ物を消化しやすい状態にしてから胃に送りますが、噛み合わせが悪いと唾液の分泌量が減少し、消化する力が弱まるとも言われています。

まとめ

不正咬合は見た目だけの問題でもありません。

そして、歯列矯正は見た目の改善だけではありません。

高齢者の方に出っ歯やしゃくれ、歯並びが気になる方は少ないですよね？

その理由の一つとしては、歯並びが悪い方は高齢になる前に歯を失っているからです。

自分の生活スタイルに合わせた歯列矯正を行うことで見た目だけでなく結果的には将来、1本でも多くの自分の歯でしっかりと食事ができることにもつながります。

是非不正咬合かなと感じておられるなら一度矯正ができる歯科医院に相談してみることをお勧めします。