インビザラインの装着時間は22時間以上!装着時間を守れなかった場合のリスクと対処法
インビザラインのマウスピースは常に装着しなければなりません。なぜならば、インビザラインは圧力をかけて少しずつ歯を移動する治療のため、1つのマウスピースで移動できる距離に限りがあるからです。最大まで動いたら、次のステージのマウスピースに交換し、最終的に理想の歯列へ整えます。
装着時間が守れない場合、計画通りに歯が移動しないなど、さまざまなリスクが生じる可能性があります。
インビザラインの装着時間を守らないとどんなリスクがあるのか、対処法とともに解説します。
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インビザラインの装着時間は22時間以上
インビザラインはマウスピースを装着して、少しずつ歯を移動させる歯列矯正治療です。
インビザラインで装着するマウスピースは、夜だけでよいと勘違いしている方もいるようです。しかし、実際は基本的に1日22時間以上装着する必要があり、装着時間を守れなかった場合、さまざまなリスクが生じる可能性があります。
夜だけで問題ないのはリテーナー
インビザラインで歯列が整ったら、リテーナーと呼ばれる保定装置を装着します。
リテーナーは歯列を固定・保持し、後戻りを防ぐための装置です。症例によって変わりますが、リテーナーはインビザライン矯正終了後から半年程度は22時間以上、その後は夜(就寝時)のみの装着に移行するケースが多いです。
インビザラインの装着時間と混同されやすいですが、夜だけで問題ないのはリテーナーであり、マウスピースは22時間以上が基本となります。
装着時間を守れなかった場合のリスクとは
インビザラインのマウスピースを装着したまま飲食することはできません。そのため、披露宴や飲み会などで食事の時間が長くなり、どうしても装着時間を守れない日ができてしまうこともあるでしょう。
もしも装着時間を守れなかった場合、どのようなリスクがあるのか解説します。
予定通りに治療が進まなくなる
インビザラインでは治療前に治療計画を立ててから、マウスピースを作ります。治療計画は1日22時間以上マウスピースを装着することを前提に作られるため、装着時間を守れなかった場合、計画どおりに治療が進まない可能性があります。
なぜならば、装着時間が短いと、その分歯が動く距離が短くなってしまうからです。場合によっては、1週間で到達するはずだった場所に歯が移動するまで、10日以上かかってしまうかもしれません。
数日のズレが後々に大きく響く可能性もあるので、装着時間を守れないと、最初に予定していた治療計画よりも長引いてしまうこともあるでしょう。
後戻りが起き、最悪マウスピースを装着できなくなる
マウスピースは歯を移動させる役割以外に、歯の後戻りを防ぐ役割もあります。後戻りとは、歯が元の位置に戻ろうとすることです。
マウスピースの装着時間が短いと着けていない時間だけ後戻りが進んでしまうため、治療が進まなくなったり、元の状態に戻ってしまう可能性があります。
そのため、最悪の場合、マウスピースが装着できなくなってしまう可能性があります。
噛み合わせが悪くなる
マウスピースの装着時間が短いと、噛み合わせが悪くなる場合があります。インビザラインの交換周期は、年齢や歯並びの状態などから歯科医師が判断し計画を立てるためです。徐々に理想的歯並びになるよう調整されているので、歯の動きが悪いと噛み合わせが悪くなってしまうケースもあります。
とくに奥歯の噛み合わせが悪くなるケースが多いです。
歯の根っこが露出する
マウスピースを装着すると歯に圧力がかかります。例えば、マウスピース1つの圧力を1とする場合、装着して歯を移動させることでマウスピースの圧力は、少しずつ下がり、最終的にほぼ0になるというイメージです。
しかし、装着時間が短いまま次のステージのマウスピースに交換してしまうと、歯が計画どおりに移動しきっていないため、1以上の圧力がかかってしまいます。
想定外の圧力が加わると歯茎が下がって、歯の根っこが露出してしまうことがあるため注意が必要です。
治療期間が延びて余分な費用がかかる
歯科医院によって対応は異なりますが、治療期間が延びてしまうと余分が費用がかかる場合があります。
例えば、後戻りなどが原因で計画通り進まなかったため、新しくマウスピースを作り直したり、通院の回数が増えたりすると、本来の治療費よりも高くなる可能性があります。
できるだけ治療費を安く済ませるためにも、装着時間はきちんと守りましょう。
装着時間を守れなかった場合の対処法
インビザラインの治療でマウスピースを装着する期間は1~2年ほどになります。長期的な治療になるため、どうしても装着時間を守れない日が出てしまうこともあるでしょう。
しかし、実際に装着時間が守れない日が出てしまってもとくに問題がない場合が多いです。外食やイベントによって多少短くなる程度なら気にする必要はありません。
しかし、装着時間を守れない日が1週間以上続いたり、丸1日装着できない日が数日以上続いたりする場合は、さまざまなリスクが生じる可能性があるため注意してください。
では、もしもマウスピースの装着時間が守れなかった場合、どのような対応をするべきなのかご紹介します。
1日程度ならマウスピースの交換時期を延長する
インビザラインのマウスピースは、1~2週間程度で新しいマウスピースへ交換します。装着時間が短い日が1日程度であれば、マウスピースの交換時期を1~2日延長するだけで問題ありません。
そもそも1日守れなかった程度であれば、治療計画にほとんど影響はありません。ただし、1週間のうちに何日も装着時間を守れない日が続いた場合は、影響が出る可能性があるため注意してください。
なお、次の調整日が来た際に、交換時期を延長したことを担当の歯科医師に伝えておくと、後の対応がスムーズになるでしょう。
守れない日が多いなら歯科医師へ相談する
もしも装着時間を守れない日が多い場合は、担当の歯科医師へ相談してください。
自己管理が大切な治療ですが、自己判断で勝手に治療計画をずらしてしまうのはNGです。治療計画と異なる歯並びになってしまう可能性があります。
場合によっては、治療計画の立て直しやマウスピースの作り直しもあるため、必ず担当の歯科医師へ相談しましょう。
インビザラインの装着時間を守るための対策
インビザラインの装着時間を守るために大切なことは、きちんと自己管理を行うことです。
基本的に家で行う治療であり、通院回数が少ないところがインビザラインのメリットではありますが、自己管理が疎かになると失敗してしまうリスクもある治療です。
そのため、自分自身で装着時間を守るための対策を行う必要があります。
スマートフォンの機能やアプリを使って時間を管理する
「今日は装着時間はどれくらいだっけ?」「昨日、装着時間が短かった気がするけど大丈夫かな?」など、日々の装着時間が把握しきれない場合は、スマートフォンの機能やアプリを使って管理することをおすすめします。
例えば、スマートフォンのリマインダー機能で「マウスピースを着ける」と知らせることで、着け忘れを防止でき「そろそろ着ける時間だ」と管理しやすくなります。
また、アプリを使って日々の装着時間を管理することで、装着時間を守れているか確認することも可能です。
食事と歯磨きの時間を決めて規則正しい生活をする
インビザラインのマウスピースを取り外す時間は、食事と歯磨きのときだけです。
そのため、予め食事と歯磨きの時間を決めて、規則正しい生活を送ることで装着時間を守れない日を減らすことができます。
仕事などの関係で変則的な生活を送っている人も、「起床してから◯時間語に食事」「朝食の◯時間後に昼食」と、食事と歯磨きのタイミングに一定の規則性を持たせることで対応できます。
予備のマウスピースを持ち歩く
「朝に歯磨きをしたら、そのまま洗面台にマウスピースを忘れてしまった」と、ついうっかりしてしまうこともあるでしょう。
装着しないまま外出してしまうと、装着時間を大幅に減らしてしまうため、治療計画に影響が出てしまうかもしれません。
忘れ物が多い人は、前もしくは次のマウスピースを入れたケースを、予めいつも持ち歩く鞄の中に入れておくとよいでしょう。
まとめ
インビザラインのマウスピースは基本的に、1日22時間以上装着する必要があります。
1日程度であれば、装着時間を守れなくても問題はありませんが、何日も続く場合は治療計画がずれるなどさまざまなリスクが生じる可能性があります。場合によっては、治療期間が長くなったり、余計な費用がかかったりすることもあるので注意が必要です。
インビザラインは自己管理がとても大切な治療です。そのため、自分自身で装着時間を守れるように、習慣をつける工夫をしましょう。
万が一、装着時間を守れない日が多くなる場合は、必ず担当の歯科医師へ相談してください。
2024年5月10日更新